H31年4月~R2年3月の有害物質のモニタリング検査結果について
1 かび毒
有害物質の指導基準又は管理基準が設定されているアフラトキシンB1、デオキシニバレノール、ゼアラレノン、フモニシンを始めとする27成分について、配混合飼料及び26種類の飼料原料のモニタリングを実施した。
そのうち主なかび毒のモニタリング結果は、以下のとおりであった。
1) アフラトキシンB1
配合飼料は93点実施し、最大値は子豚育成用配合飼料0.0009mg/kgであり、指導基準値(搾乳の用に供する牛、めん羊及び山羊に給与される配合飼料0.01mg/kg)及び管理基準値(反すう動物(ほ乳期のものを除く。牛、めん羊及び山羊にあっては、搾乳の用に供するものを除く。)、豚(ほ乳期のものを除く。)、鶏(幼すう及びブロイラー前期のものを除く。)及びうずらに給与される配合飼料0.02mg/kg、反すう動物(ほ乳期のものに限る。)、豚(ほ乳期のものに限る。)及び鶏(幼すう及びブロイラー前期のものに限る。)に給与される配合飼料0.01 mg/kg)を超えるものはなかった。
原料は179点実施し、とうもろこし、マイロ、とうもろこしジスチラーズグレインソリュブル及び大豆油かすから検出されており、それらの最大値は、とうもろこし(0.005mg/kg、米国産)、マイロ(0.004mg/kg、米国産)、とうもろこしジスチラーズグレインソリュブル(0.002mg/kg、米国産)、大豆油かす(0.001mg/kg、国産)であった。
2) デオキシニバレノール
配合飼料は94点実施し、管理基準値(反すう動物(ほ乳期のものを除く。)に給与される配合飼料3mg/kg、家畜(反すう動物(ほ乳期のものを除く。)を除く。)及び家きんに給与される飼料1mg/kg)を超えて検出されたのは1事例であり、それは子豚育成用配合飼料で1.6mg/kgであった。
原料は259点実施し、主にとうもろこし、マイロ、麦類及びそれらの副産原料、なたね油かす、大豆油かす 、綿実、米ぬか、しょう油かすから検出されており、主な原料の最大値は、とうもろこし(0.69mg/kg、米国産)、マイロ(0.056mg/kg、アルゼンチン産)、小麦(0.25mg/kg、国産)、綿実(0.041mg/kg、米国産)、末粉(0.21mg/kg、国産)、圧ぺん大麦(0.61mg/kg、国産)、米ぬか(0.093mg/kg、国産)、コーングルテンフィード(3.3mg/kg、国産)、とうもろこしジスチラーズグレインソリュブル(6.6mg/kg、米国産)、コーングルテンミール(1.9mg/kg、国産)、ふすま(0.67mg/kg、国産)、しょう油かす(0.046mg/kg、国産)、麦ぬか(0.43mg/kg、国産)、ホミニーフィード(0.64mg/kg、国産)、小麦粉(0.33mg/kg、国産)、なたね油かす(0.053mg/kg、国産)、大豆油かす(0.20mg/kg、米国産)であった。
3) ゼアラレノン
配合飼料は93点実施し、最大値は子豚育成用配合飼料で0.32mg/kgであり、管理基準値(家畜及び家きんに給与される配合飼料0.5mg/kg)を超えるものはなかった。
原料は225点実施し、主にとうもろこし、マイロ、麦類及びそれらの副産原料、米ぬか油かす、大豆油かすから検出されており、主な原料の最大値は、とうもろこし(0.15mg/kg、米国産)、マイロ(0.14mg/kg、アルゼンチン産)、圧ぺん大麦(0.011mg/kg、国産)、ふすま(0.043mg/kg、国産)、小麦粉(0.004mg/kg、国産)、コーングルテンフィード(0.37mg/kg、国産)、コーングルテンミール(1.1mg/kg、国産及び中国産)、とうもろこしジスチラーズグレインソリュブル(1.1mg/kg、米国産)、米ぬか油かす(0.019mg/kg、国産)、大豆油かす(0.056mg/kg、国産)であった。
4) フモニシン(B1+B2+B3)
配合飼料は3点実施し、最大値はブロイラー肥育前期用配合飼料で1.4mg/kgであり、管理基準値(家畜及び家きんに給与される配合飼料4 mg/kg)を超えるものはなかった。
2 重金属
有害物質の管理基準が設定されているカドミウム、鉛、ひ素及び水銀について配混合飼料及び魚粉等のモニタリングを実施した。
1) カドミウム
管理基準の対象となる配合飼料は49点実施し、最大値は成鶏飼育用配合飼料の0.17mg/kgであり、管理基準値1mg/kgを超えるものはなかった。また、養殖水産動物用飼料は33点実施し、最大値は1.1mg/kgであった。
原料は魚粉等22点実施し、最大値は魚粉の1.2mg/kg(国産)であり、管理基準値3mg/kgを超えるものはなかった。
2) 鉛
管理基準の対象となる配合飼料は49点実施し、最大値は肉豚肥育用配合飼料の2.1mg/kgであり、管理基準値3mg/kgを超えるものはなかった。また、養殖水産動物用飼料は33点実施し、最大値は0.6mg/kgであった。
原料は魚粉等21点実施し、最大値は魚粉の0.7mg/kg(国産)であり、管理基準値3mg/kgを超えるものはなかった。
3) ひ素
管理基準の対象となる配合飼料は49点実施し、最大値は幼すう育成用配合飼料の0.7mg/kgであり、管理基準値2mg/kgを超えるものはなかった。また、養殖水産動物用飼料は33点実施し、最大値は4.4mg/kgであった。
原料は魚粉等21点実施し、最大値は魚粉の12mg/kg(国産)であり、管理基準値15mg/kgを超えるものはなかった。
4) 水銀
管理基準の対象となる配合飼料は49点実施し、最大値は成鶏飼育用配合飼料の0.03mg/kgであり、管理基準値0.4mg/kgを超えるものはなかった。また、養殖水産動物用飼料は33点実施し、最大値は0.29mg/kgであった。
原料は魚粉等22点実施し、最大値は魚粉の0.66mg/kg(国産)であり、管理基準値1mg/kgを超えるものはなかった。
3 農薬
省令で基準が設定されている成分を含む122成分についてモニタリングを実施した。そのうち主に検出された農薬のモニタリング結果は、以下のとおりであった。
ブラジル産とうもろこしからクロルピリホスが基準値を超えて検出された。基準が設定されていない成分については家畜に影響を及ぼしたり、畜産物に残留する可能性がある濃度を超えるものはなかった。
配合飼料は122成分について実施し、検出された農薬は5成分25点であった。成分別の検出数(最大値)は、クロルピリホス1点(170μg/kg)、シハロトリン1点(88μg/kg)、デルタメトリン及びトラロメトリン1点(200μg/kg)、ピリミホスメチル19点(190μg/kg) 、マラチオン3点(130μg/kg)であった。
原料は122成分について実施し、検出された農薬は14成分51点であった。成分別の検出数(種類、産地、最大値)は、アトラジン1点(スーダングラス、米国産、24μg/kg)、イソプロチオラン2点(米ぬか、国産、26μg/kg)、エトフェンプロックス1点(スーダングラス、米国産、91μg/kg)、クロルピリホス4点(りんごジュースかす、中国産、270μg/kg;とうもろこし、ブラジル産、344μg/kg(省令基準違反))、クロルピリホスメチル5点(ふすま、国産、50μg/kg)、デルタメトリン及びトラロメトリン3点(マイロ、アルゼンチン産、320μg/kg)、ビフェントリン2点(とうもろこし、ブラジル産、43μg/kg)、ピリミホスメチル17点(とうもろこし、ブラジル産、560μg/kg)、フェニトロチオン2点(とうもろこし、ブラジル産、190μg/kg)、プロシミドン1点(ウィートヘイ、オーストラリア産、72μg/kg)、プロピコナゾール2点(ライグラス、米国産、4000μg/kg)、ペルメトリン2点(コーングルテンフィード、国産、270μg/kg)、ペンディメタリン1点(チモシー、米国産、120μg/kg)、マラチオン8点(とうもろこし、米国産、280μg/kg)であった。
注
各項目における点数は、分析を実施したサンプル数ではなく、分析を実施したのべ成分点数である。
なお、成分ごとの検査件数、検出件数、最大値、平均値につきましては、こちらをご覧ください。
http://www.famic.go.jp/ffis/feed/info/sub2.html